水田宗子(1937--)
比較文学者、詩人、教育者、大学経営者
1937年 東京市大森区に父水田三喜男、母清子の次女として生まれる。(本籍地は千葉県鴨川市西)
1942年 疎開先の千葉県安房郡勝山町勝山小学校に入学、館山市北条小学校、東京都千代田区雙葉学園小学校、中学、高等学校卒業後、東京女子大学文理学部英米文学科へ入学。1960年卒業、東京都立大学大学院(修士課程)、米国イエール大学修士課程、博士課程にて修士号、博士号取得(MA, Ph.D. American Studies 1970)
父水田三喜男(1905-1976)は1946年新憲法下最初の総選挙に当選し衆議院議員となり、自民党政調会長、経済企画庁長官、通産大臣、大蔵大臣を歴任し、戦後の日本社会、経済、教育の復興に尽力した政治家で、1965年学校法人城西大学を創立し、初代理事長学長。母清子(旧性町田)は句集五冊を持つ俳人、富安風生、岡本眸に師事、東金俳句会主宰。城西川越高校理事長、学校法人城西大学二代理事長(1976-2005)。
水田宗子は学生時代から詩作、批評活動を続け、1961年米国イエール大学院へ留学、1983年まで米国の大学、大学院で、近・現代英米文学、批評理論、日欧米比較文学、フェミニズム批評、女性学、ジェンダー論などを24年間にわたり幅広く講義、その間、日本女性文学の翻訳を刊行し、海外の日本文学研究者を多数育成した。1983年帰国後、城西大学女子短期学部開設、1992年城西国際大学を創設し、城西大学、城西国際大学で教授、学長、学校法人城西大学専務理事、常務理事を務め、2005年3人目の学校法人城西大学理事長に就任、2017年に退職するまで33年間,大学経営者、教育者として尽力し、城西大学、城西国際大学を国内外で、経営的にも、グローバル教育、ジェンダー・女性学教育の先駆的教育機関としても高く評価されるまでに発展させた。
女性人材育成教育・国際的研究者育成のため、水田宗子奨学金制度・女性リーダー育成奨学生制度を発足し、留学生の受け入れや大学院でのグローバル女性人材育成に取り組む。奨学生たちは現在国内外、世界各地で活躍している。グローバル人材育成を目指して、26ヵ国、129を超える海外の大学、研究所と協力提携を結び、学生の留学制度の拡充、英語で授業をするグローバル・カレッジを設立して、海外の研究者、留学生との協力を推進した。日本初のフェミニズム批評、ジェンダー批評、女性学の大学院修士課程、博士課程を創設し、中国大連理工大学を中心に日中連携大学博士課程を開設して多くの博士号取得者を育成して、国際人材の育成に貢献した。また千葉県東金市、鴨川市をはじめとする千葉県地域社会と緊密に連携し、福祉、看護、介護、観光、環境社会学、薬学部を設立し、女性学教育プログラムと連動させて、積極的に医療系学生の海外研修を推進した。
研究者、教授としては、『ヒロインからヒーローへ』『フェミニズムの彼方』『物語と反物語の風景『20世紀女性表現』をはじめとするフェミニズム文学批評の古典的な著書、日本女性誌人、作家の作品の翻訳を通して、日本におけるフェミズム批評の先駆者であると同時に、海外の日本女性文学の研究者の育成に尽力した。『フェミニスト』、英文ジャーナル『Review of Japanese Culture and Society』『US/Japan Women’s Journal}を編集し、現在はThe Journal of Comparative Media and Women’s Studies を編集し、国際メデイア。女性文化研究所所長として研究・批評活動を続けている。
詩人としては十二冊の詩集は英語、中國語、韓国語、スウエーデン語、ハンガリー語ほかに翻訳され、スウエーデンから国際詩賞「チカダ賞」を受賞している。詩誌『カリヨン通り』主宰、国際短詩協会創設。
城西国際大学に国際現代詩センターを設置し、北京大学に城西大学国際現代詩センターを開設し、国際短詩協会、留学生「帰路賞」(日本語詩賞)を創設、第一回の授賞式を2017年1月に催行した。
2017年 城西大学退職後は一般社団法人「国際メディア、女性文化研究所」を開設し、世界的規模でメデイア・女性文化研究を発展させている。機関誌『比較メディア女性文化研究』をはじめ『日米女性ジャーナル』(ハワイ大学評価機構からA評価)、詩と批評の同人誌『カリヨン通り』を刊行し、日本語と英語で発信し、国境を超えたメデイア、ジェンダー・女性学批評、現代詩、人文研究の拠点となっている。
【教育】
1960 東京女子大学人文学部英米文学科卒業BA
1960-61 東京都立大学大学院英米文学専攻修士課程
1960 米国Yale University Graduate School修士号(M.A.)
1970 Yale University Graduate School, American Studies博士号(Ph.D.)
職歴 Work Career
1967年4月 助教授Assistant Professor, Associate Professor 獨協大学Dokkyo
University
1970年9月 助教授メリーマウント大学英文学部Assistant Professor, Dept. of English,
Marymount College, Tarrytown, NY (USA)
(Courses taught: American Literature, Modern British and American
Literature, Theories of Literature, Theories of Criticism)
1971年9月 助教授スクリップス大学英文学部Assistant Professor, Dept. of English,
Scripps College, Claremont, C A(USA)
(Courses taught: American Literature, Modern British and American
Literature, Comparative Literature, Theories of Literary Criticism)
1972年4月 城西大学経済学部助教授
1974年9月 准教授南カリフォルニア大学比較文学、東アジア言語文学学部Associate Professor, Univ. of Southern California, Los Angeles, CA (USA)
(Courses taught: Comparative Literature, American Literature, Theories of Criticism, Romanticism, Theories of the Novel, Japanese Literature, Theories of Japanese Culture, World Literature, Women’s Studies, Graduate Seminars in Comparative Literature, Graduate Seminar in Women’s Studies)
1977年 同大学テニュア取得
1996-2004 学校法人城西大学,城西大学女子短期大学英文学部教授、
法人専務理事、常務理事
1992-2017 城西国際大学人文学部教授Josai International University Professor, Faculty of Humanities
194-1996 城西大学学長
1996-2009 城西国際大学学長Josai International University President
2005-2016 学校法人城西大学理事長Josai University Educational Corporation Chancellor
2017-present 一般社団法人国際メディア、女性文化研究所理事長、所長International Institute of Media and Women’s Studies-Chancellor and Director
Honors
May, 2011 The Pro Cultura Hungarica Prize, the Hungarian Governmentハンガリー共和国文化勲章ハンガリー政府
Nov. 2013 Commander’s Cross of the Order of Merit of Hungary (Civil List) the Hungarian Governmentハンガリー共和国より十字勲章ハンガリー政府
Dec. 2013 Cikada Prize for Poetry,「チカダ」賞(生命の尊厳を表現する詩人に授与)presented by the Embassy of Sweden
June 2018 The Order of the Polar Star, presented by HM King Carl XVI Gustav, the King of Sweden、(北極星勲章)民間人最高の勲一等授賞。カール・グスタフ16世スウェーデン国王
Honorary Titles
Dec. 2007 中国華南師範大学名誉教授China: South China Normal University: Professor Honoris Causa
Sept. 2010 韓国東西大学名誉博士Korea: Dongseo University: Doctor Honoris Causa
Sept. 2012 China: Northeastern University: Professor Honoris Causa
Nov. 2013 ハンガリーHungary: Szent Istvan University: 名誉博士Doctor Honoris Causa
June 2015 マレーシアMalaysia: University of Malaysia, Perlis, Doctor Honoris Causa presented by the Raja and Queen of Perlis State, Malaysia名誉博士
August 2015 韓国韓南大学名誉博士Korea: Hannam University: Honorary Doctoral Degree
April 2014 Hong Kong City University 名誉教授
May 2016 China: 大連外国語大学名誉教授Dalian University of Foreign Languages 名誉教授、named Dr. Mizuta Special Overseas Chancellor
May 2016 USA: Awarded the University of California at Riverside Medallion
April, 2018 China: 武漢大学 終身女性大学長賞受賞
Oct. 2018 China: 深圳市文化芸術連合第一朗読者2018成就賞awarded to Dr. Noriko Mizuta
June,2019 Oxford University Special Seminar in Honor of Dr. Noriko Mizuta’s Works,
April 2022 Yale University, John Hall Lecture
【研究書、評論・エッセイ】
『鏡の中の錯乱:シルヴィア・プラスの詩』静地社1979
『エドガー・アラン・ポオの世界―罪と夢』南雲堂書店1982
『Reality and Fiction in Modern Japanese Literature 』M.E.Sharpe 1980
『エドガー・アラン・ポオの世界;罪と夢』南雲堂1982
『ヒロインからヒーローへー女性の自我と表現』田畑書店1982(中国語訳『女性的自我与表現:現代女性文学的歴程』、叶 中国文 出版社1999)
『フェミニズムの彼方』講談社1983
『物語と反物語の風景』田畑書店1985
『二十世紀の女性表現:ジェンダーの外部へ』学芸書林1987
『居場所考―家族のゆくえ』エッセイ集、フェミックス1998
『ことばが紡ぐ羽衣:女たちの旅の物語』エッセイ集思潮社1998
『山姥たちの物語』編著北田幸恵学芸書林2002年
『女性学との出会い』集英社新書2004
『尾崎翠「第七官界彷徨」の世界』新典社2005年 (英語訳)(Translated by Jennifer Cullen and Wachi Yasuko)
『開学百年への道:城西大学、城西国際大学の歩み(1)』学校法人城西大学国際学術文化振興センター, 2008年
『高麗川の流れのほとりにて』埼玉新聞社2010(中国語訳)姜寅星、李 清、西北大学出版社2012
『大庭みな子―記憶の文学』平凡社2013
『モダニズムと〈戦後女性詩〉の展開』思潮社2012年(中国語訳)王新新新、北京大学出版
『奪われた学園』幻冬舎2018年
『詩の魅力 / 詩の領域』思潮社2020年
『富岡多恵子―はぐれものの思想と表現』編著、めるくまーる2021年
『白石かずこの世界:性・旅・命』書肆山田2021年
詩集、童話
『春の終わりに』八坂書房1976
『幕間』八坂書房1980
『炎える琥珀』大庭みな子との往復詩、中央公論社1996
『帰路』思潮社2008 (Roard Home, translated by Jordan Smith,2015,『帰路』陳岩訳(大連理工大学出版会)、韓国語李英和訳、その他)
『サンタバーバラの夏休み』思潮社2010
『アムステルダムの結婚式』思潮社2013
『青い藻の海』思潮社2013 (The Sea of Alges, trans. Jordan Smith, Josai University Press)
『東京のサバス』思潮社2015 (Sabbath in Tokyo, trans. Jordan Smith)
『水田宗子詩集』思潮社2016
『影と花と』思潮社2017
『Mizuta Noriko: Berghaxans drom(「水田宗子山姥の夢」」Lars Vargo、Bokforlaget,Stockholm,Sweden2020
『うさぎのいる庭』ポエムピース2020 (中国語訳 田原)
『音波』思潮社2021
『ぼくと2まい葉』絵小原風子、文水田宗子、ポエムピース2017
『Poem in Blue, 藍之詩』水田宗子の詩日本語・英語・中国語対訳、北島監修、香港中文大学出版社201その他日本語、各国語訳有:英語、ドイツ語、フランス御、スウェーデン語、ノルウェー語、ハンガリー語、韓国語、中国語、ポーランド語、スロベニア語、チェコ語などに翻訳されている)
翻訳
シルヴィア・プラス『鏡の中の錯乱』静地社1979
アン・セックストン『魔女の語るグリム童話替え話』静地社1980
Japanese Woman Writers, edited and translated with Kyoko Selden, M.E. Sharpe 1982
『フェミニスト映画:性幻想と映像表』水田宗子訳、序文解説、田畑書店1985 (E.A.Kaplan, Women and Film: Both Sides of Camera, Methuen 1983
『フィルム・ノワールの女たち:性的支配をめぐる争闘』田畑書店1988(Women in Film Noir, edited by E.A. Kaplan, British Film Institute1980
More Stories by Japanese Women Writers: An Anthology edited and translated with Kyoko Selden, M.E. Sharpe 2010
The Funeral of a Giraffe: Seven Stories by Tomioka Taeko, translated with Kyoko Selden2000
『ルーブル美術館の不思議な日曜日』白石かずこ、水田宗子訳 学校法人城西大学出版2017(絵と文Isabelle Duchesnes, Derole de Dimanche au Louvre, Editions Infime2015)
編著、編共著
『Leaving the Yellow House by Saul Below』, 水田宗子編集、解説、南雲堂1972
Japanese Women Writers, edited and translated with Kyoko Selden, M.E. Sharpe 1982
『危機と均衡:国際摩擦と日本経済』水田宗子責任編集,城西大学国際文化教育センター1988
『女性と家族の変容:ポストファミリーへ向けて』水田宗子編,学陽書房1990
『女性の自己表現』水田宗子編、第二回環太平洋女性学会議,田畑書店1993
『母と娘のフェミニズム:近代家族を超えて』水田宗子、北田幸恵、長谷川啓編、田畑書店1996
『うたの響き・物語の欲望―アメリカから読む日本文学』(共著)関根英二編、森話社1996
『女性と表現―フェミニズム批評の現在』New Feminism Review Vol 2 水田宗子編、学陽書房1991
『ジェンダー白書3:女性とメディア』(共著)北九州市男女共同参画センター“ムーブ”編、明石書店2005
『韓流:サブカルチャーと女性』水田宗子、北田幸恵、長谷川啓編共著、至文堂2006
『ジェンダーで読む韓流文化の現在』編共著、城西国際大学ジェンダー_女性学研究所水田宗子編、現代書館2006
『輝く21世紀を拓く:少子高齢化、地方自治、仕事、医療、福祉』水田宗子編、新宿書房
『新天地:四行連詩集 I』水田宗子編共著、[カリヨン通りの会],城西国際大学出版会2011[
『生命の尊厳を表現するということ:Cikada Pricet Sweden 2013水田宗子編共著、学校法人城西大学出版会2015
『外地と表現』編共著、城西国際大学比較文化講座「ジェンダー論」講演集、学校法人城西大学出版会2015
『Poetry and Outer Territorie: Poetry among East Asian Poets, edited by Mizuta Noriko, Jordan Smith, Romain Duchesnes, Josai University Press2016
『詩と幼年時代』国際現代詩シンポジューム、城西現代詩センター所長水田宗子編共著2016
『屋根に残った破れ靴―日中韓詩人の集い』水田宗子編共著学校法人城西大学出版会2016
『荒ぶるゆりかご:3・11の惨事への詩的な応答』水田宗子編学校法人城西大学出版会2018
「21世紀に求められる人文科学と大学教育――大学改革と人間」水田宗子編、一般社団法人国際メディア・女性文化研究所2018
『(新編)日本近代女性文学全集Vol.10』水田宗子編集、監修長谷川啓、岩淵宏子、六花出版2019
『現代女性文学を読む: 山姥たちのかたり/ジェンダー・フェミニズム批評の現在』水田宗子、北田幸恵、長谷川啓、小林富久子編共著、アーツアンドクラフツ、2016
『故郷:四行連詩集I I 』水田宗子編共著「カリヨン通りの会」一般社団法人国際メディア・女性文化研究所2021
共著
{フェミニズム入門}(共著)、冨士谷あつ子1978
『フェミニズム批評への招待:近代女性文学を読む』(共著)岩淵宏子、北田幸恵、高良留美子編、学芸書林1995
The Woman’s Hand : Gender and Theory in Japanese Women’s Writings, edited by Paul Schalow and Janet Walker, Stanford University Press 1996(共著)
『セクシュアリティの社会学』(共著)岩波講座現代社会学、吉見俊哉、見田宗介、大澤眞幸、上野千鶴子、井上俊編、岩波書店1996
Poe Abroad, edited by Lois Davis Vines, University of Iowa Press1999(共著)
『高橋たか子の風景』(共著)、中川成美、長谷川啓編、彩流社1999
『買売春と日本文学』(共著)、岡野幸江、長谷川啓編、東京堂出版2002
『老いの愉楽―老人文学の魅力』(共著)、尾形明子、長谷川啓編、東京堂出版2008
『Feminism in Japan 新編日本のフェミニズムIIフェミニズム文学批評』({共著)上野千鶴子ほか編 岩波書店2009.
『New Feminism Review, Vol.IIフェミニズム文学批評』責任編集、
『日本近・現代女性文学全集』北田幸恵、岩淵宏子、長谷川啓編集、水田宗子11巻編集、共著、アーツアンドクラフツ2018
Yamamba-In Search of Japanese Mountain Witch, edited by Rebecca Copeland, Stone Bridge Press,2021(共著)
『田村俊子全集10巻』(共著)ゆまに書房、2023
対談集
『山姥のいる風景』―大庭みな子、水田宗子対談, 田畑書店1995
『文学批評:女性と表現―女性作家たちと語る:対談、鼎談、シンポジューム』北田幸恵編、学校法人出版会2014
『家父長制とジェンダー:対談、鼎談、シンポジューム』北田幸恵、水田宗子編、学校法人城西大学出版会2014
『ジェンダーとアジア:対談、鼎談、シンポジューム』北田幸恵、水田宗子、学校法人城西大学出版会2016
ジャーナル、雑誌編集
『フェミニストー新しい女たちの「青鞜」』(共編)渥美育子、水田宗子他編集、1976-1990
『RIM』城西国際大学ジェンダー・女性学研究所機関誌編集責任1996-2017
Review of Japanese Culture and Society1986-2021 Editor in Chief
US/Japan Women’s Journal, Editor Sally Hastings and Mizuta Noriko編集
The Journal of Comparative Media and Women’s Studies編集責任担当、編集員和智綏子、北田幸恵、岩淵宏子、小林富久子