『奪われた学園』出版記念会が2017年12月19日に行われました。発起人の一人である上野千鶴子さんのメッセージを紹介します。

出版記念会スピーチ(上野千鶴子)

 突然のクーデタとも言うべきのっとり劇からおよそ1年。被害当事者であった水田さんにとっては、悪夢の1年であったことでしょう。事情をお聞きするにつけ、知性の府である最高学府で、こんな理不尽がまかり通ってよいものだろうか、とわたしも怒りを禁じ得ませんでした。しかもそれを監督する責任のある文科省の元官僚が、悪辣きわまるやり方で、城西大学を維持・発展させてきた最大の功労者である水田理事長の追い落としを図ったのです。こんなドラマのような話が・・・と思われる方々には、水田さんのこのたびの新刊『奪われた学園』を読んでいただきたいものです。不法行為の証拠は数々あり、不当ないじめが継続しているのに、それを誰も止められません。本書で名指しにされた元文科省官僚のみならず、不法な手続きで彼の専横をゆるした現理事会や、事情を知った上で理事長職を受任した現理事長の責任も重いといわざるをえません。その最大の犠牲者は学生たちです。  わたしたち、水田宗子さんと長いあいだの親交があり、ご本人のお人柄と学問上の業績を知る者たちにとって、これは看過しがたい事態でした。今年の5月には内外の研究者と語らって、事態の打開を図るべく、抗議声明を出すに至りました。声明に署名した知識人や研究者のリストは、水田さんがどのくらい国内的にも国際的にも尊敬を集めている人物であるかを、如実に示しました。しかし事態はさらに悪化し、進展の兆しを見せていません。今回のご本の刊行は、水田さんにとってやむにやまれぬご決断だったと思います。

 読んでいただければわかるように、このような事態は、どの私立大学でも起きる可能性があります。西の名門、梅光女子大学でも、乗っ取り劇が進行中とお聞きしました。私立大学の経営と意思決定の手続きは、たいへん脆弱な基盤の上に成り立っていることが明らかになりました。ほんらいこのような事態に対処すべき文科省がまったく動きを見せないのも不思議なことです。

 ことは水田さん個人の問題に限られません。このような事態を放置しておくことは、城西大学のみならず、大学業界そのものへの信頼を揺るがします。愛してやまない城西大学の名誉のために、ことを穏便にすませようと一時は思っておられた水田さんが、「正義のための闘い」に敢然と立たれたことに、エールを送りたいと思います。

 本日出席なさった方たちも、水田さんの身の上を心から憂え、水田さんの闘いを応援してくださる方々だと信じております。どうしてもつごうがつかず、本日のお集まりには参加できませんが、わたしの思いが皆様方と同じであることを、水田さんにお伝えしたいと思い、メッセージをお送りいたしました。

<了>

水田宗子さんを支援する会

「水田宗子」をインターネットで検索すると、逮捕、不適切な支出、不正、横領など、情報不足による憶測や一方的な記事が多く目にとまります。水田宗子さんの名誉回復を支援する会ではそういった狭い視野ではなく、もっと広い視野で水田宗子さんの身に何が起こっているか、皆さんの公正な目で判断いただけるよう情報を発信していきます。

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